現在,米国を中心に「脳活動を計測し機械を直接制御する」というブレインマシンインターフェイスBMI」が現実味を帯びつつあるが,臨床的な利用を超え社会で用いられるようになるには非侵襲・非接触のインターフェイスが必須であり,シルードルームを必要としないウエアラブル脳磁計はその要である.本研究では,従来法では困難な粒径20nmクラスの均一な酸化鉄ナノ粒子磁性流体を合成する方法を開発し,それらの粒子の位置の自由度,空間配置,配向や密度揺らぎと粒子間の磁気的協力現象の相関を,高透過力小角X線散乱を用いた極超低周波磁場中流体内部のナノ相関形成その場観察や極低周波磁化特性計測技術を用いて調べる.そして,これらの結果をシミュレーション結果等と照らし合わせ,理論の予測する超強磁性流体状態を確認しその発現のメカニズムに迫まることで,ウエアラブル脳磁計に必要な液体極超低周波環境磁気フィルタの可能性を示す. 本研究では,まず無溶媒熱分解法による酸化鉄ナノ粒子の作製についてサイズだけでなく形状も安定的に制御できる方法を確立した.また,そうして合成した直径20nmクラスの八面体/立方体形状の磁性ナノ粒子分散系に対して、SQUID磁束計や磁場印加機構を加えた小角X線散乱で評価し,磁場中での粒子間磁気相関についての知見を得た。また、そこで磁気相関の空間分布が問題となったため、磁気ブラッグエッジの特徴に着目し、透過中性子分光を用いた新たな評価法(2017.11日刊工業新聞他)を開発した.
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