研究課題/領域番号 |
15K13284
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
山本 真平 京都大学, 物質-細胞統合システム拠点, 助教 (20362395)
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研究分担者 |
マクナミー キャシー 信州大学, 繊維学部, 准教授 (40504551)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 一酸化窒素 / 磁性ナノ粒子 |
研究実績の概要 |
今年度は、熱分解してNOを放出する化合物(NO放出化合物)と磁性ナノ粒子を均一に複合化し適度な大きさとすることにより、周囲への熱散逸を低減しつつ、内部の高温度領域のみからNOを放出することができる凝集体の作製を試みた。まず始めに、室温ではNOを放出しないが、室温よりもやや高い温度領域(40-50 oC程度)に加熱することによりNOを放出しうる化合物の探索を行った。その結果、NO放出官能基としてはニトロソ基が最適であることを見いだした。また、ニトロソ化合物の分解温度(=NO放出温度)は、ニトロソ基周辺の分子構造に強く依存することも見いだした。具体的には、ニトロソ基と周辺官能基の共鳴状態がニトロソ基の安定性に大きな影響を及ぼしており、共鳴状態を適切に制御することが必要である。これらの知見に基づいて、分子構造を最適化することにより、室温では安定であるが、室温よりやや高い温度領域でニトロソ基が分解してNOを効率よく放出することができる化合物を合成することに成功した。 続いて、得られたNO放出化合物を用いて磁性ナノ粒子と複合化し、NO放出実験を行った。具体的には、ナノ複合体が比較的高濃度(20 mg/ml程度)に分散した水溶液(37 oC)に交流磁場を印加して行った。交流磁場条件は、周囲への熱散逸の目安となる水溶液全体の温度上昇が3 oC以下となるようにする。以上の実験を、磁性ナノ粒子の分率や大きさ等の作製条件を変えて行うことにより、周囲を過剰に加熱することなくNOを放出するナノ複合体を合成することに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定していた項目をすべて達成できているため。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度の研究にて創製される交流磁場下でNOを放出するナノ複合体を用いて実験を行う。具体的には、交流磁場下で放出されるNOの生理活性を細胞実験で検証するとともに、生体モデルを用いて生体深部におけるNO放出の磁気的制御過程を解明する。
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次年度使用額が生じた理由 |
凝集体作成条件のスクリーニングが予想よりも順調に進行したため
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次年度使用額の使用計画 |
NO放出体の高性能化のための更なる探索を行うとともに、消耗品類の追加購入による研究の並列化を行い、研究遂行を加速化させる。
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