H28年度は,下記に示す項目について検討を実施した. [1] 金属ナノワイヤーの微細化に関して検討を実施した.金属ナノワイヤーを構成要素とする長作動スーパーレンズの実現には,金属ナノワイヤーでの光散乱の抑制が大きな課題の一つである.金属ナノワイヤーにおける光散乱の抑制には,金属ナノワイヤーの直径の微細化が有効だと考えられる.これまでの検討において,細孔直径が光波長よりも十分に小さい陽極酸化ポーラスアルミナの形成が確認されており,このポーラスアルミナに金属を電析することで,微細直径の金属ナノワイヤーが得られ,長作動スーパーレンズの形成が可能になるものと期待される.本年度の検討の結果,直径が可視光波長よりも小さい金属ナノワイヤーとポーラスアルミナとのコンポジット構造体の形成が確認された. [2] 前年度の検討において,陽極酸化ポーラスアルミナを鋳型とした直流電析法によりAlナノワイヤーが得られることを観察している.本年度は,電析法にもとづいたAlナノワイヤーの形成に関して詳細な検討を実施した.その結果,交流電析法により,直流電析法と比較して簡便に大面積でAlナノワイヤーとポーラスアルミナのコンポジット構造の形成が可能であった.また,作製条件を変化させることで,Alナノワイヤーの直径と長さの制御が可能であった.本手法により得られたAlナノワイヤーは,高い結晶性を有することが観察された.Alナノワイヤーアレイの光学特性評価の結果,局在プラズモン共鳴を示すことが確認された.このことより本手法により形成された3次元コンポジット構造体は,負の複素誘電率を有しており,負の屈折現象を示すと考えられる.
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