研究課題
本研究では、アルミノシリケートガラス表面への電圧印加インプリントと湿式エッチングによって、特異な形状が形成される現象を発見し、その形成メカニズムを解明した。白金をコートした周期700 nmの1次元周期の石英モールドを用い、窒素雰囲気中、450℃、プレス圧力3 MPaで、23mol%の酸化ナトリウムと酸化アルミニウムを含有するケイ酸塩ガラス(Tg=779℃)に対して電圧印加インプリントを行った。その後、70℃、55 wt%のKOH水溶液中でガラス表面をエッチングし、表面形状観察とTEM-EDSでの分析を行った。電圧印加インプリント後のガラス表面には、高さ55 nmの凹凸構造が形成された。この試料を30分間エッチングすると、突起先端が選択的にエッチングされ、モールド形状とは異なる構造に変化した。このような現象は、周期5ミクロン以上のモールドを用いた場合には見られなかった。エッチング前のガラスのTEM-EDS分析の結果、特異な形状が形成される表面付近にはNaが存在せず、Al, Si, Oのみで構成される均質な非晶質であった。したがって、特異構造は、Naの欠乏による体積収縮あるいは残留応力などに起因した化学的耐久性の変化が関係していると推察された。本成果は、OPTICAL MATERIALS EXPRESS (doi.org/10.1364/OME.7.001438)に掲載された。一方、コロナ放電処理によるシリカナノ粒子選択堆積の大面積化を試みた。まず、ソーダライムガラス表面にポリスチレンナノ粒子を規則配列させ、大気中でのコロナ放電処理でアルカリ欠乏領域を形成し、その後、シリコーン蒸気中でのコロナ放電処理を実施することによって、シリカナノ粒子の選択堆積による微細パターンを大面積で可能であることを実証した。今後は、微細構造の高アスペクト比化、機能性ナノ粒子の選択堆積を試みる。
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Optical Materials Express
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