研究課題/領域番号 |
15K13299
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
廣瀬 文彦 山形大学, 理工学研究科, 教授 (50372339)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 原子層堆積法 / ナノコーティング / 微粒子 / 酸化チタン / 酸化錫 / 光触媒 / センサ |
研究実績の概要 |
本研究では、従来全く未踏であった微粒子上の室温原子層堆積法の開発に取り組み、酸化物による超格子ナノ粒子、酸化物スーパーアトムの作製を試み、可視光応答光触媒、磁気誘導光触媒粒子、3Dプリンタ造形用の高感度微粒子材の可能性を見出す研究である。 本年度では、ナノ微粒子をコアにその表面に均一に酸化物薄膜を形成する室温原子層堆積装置の開発を行った。ここでは、ナノ微粒子表面での適切な酸化反応を起こす誘電体バリア放電型の酸化源と、微粒子を保持しながら撹拌機能をもつ反応容器を組み合わせ、微粒子用の室温原子層堆積装置を開発した。さらに、同酸化源は、大気圧ベースでも表面酸化が可能であることがわかり、大気圧での製膜の可能性を見出すに至った。実際の試験として、ロータリーポンプによる真空ベースではあるが100nm径の金ナノ粒子に酸化チタンを数nmから数十nmで自在調整して製膜できることを見出した。さらに、撹拌が微粒子の凝集を抑制することも明らかになった。 ナノサイズの微粒子に酸化物半導体膜を自在調整してつけることができることから、量子サイズ効果を有する光機能微粒子や、センサー用途の微粒子チャネル膜としての利用が期待される。本研究の途中過程で、SnO2の原子層堆積についても検討し、テトラメチル錫の酸化物表面への飽和吸着、さらにプラズマ励起水蒸気による酸化過程を評価し、酸化錫の室温原子層堆積が可能であることを見出した。酸化錫は臭いセンサや分子吸着センサとしての機能微粒子膜の製造に活用する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究でナノ微粒子用の原子層堆積法を開発する上で、当初はジェット渦を活用するものを検討してきたが、設計を見直し、撹拌型とすることで当初予定していたナノ微粒子上の原子層堆積を実現するに至った。したがって、計画以上に進行していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今後、機能性ナノ微粒子として、酸化物半導体で被膜された金属微粒子を製造し、新規物性の確認研究を進めていく。研究を通して、スーパーアトムの実現の可能性を明らかにしていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初ナノ微粒子用の原子層堆積装置の開発において、ジェット式の装置をベースに検討していたが、研究を進めていく過程で、同方法にくらべ撹拌型の方が優れていると判断し、設計を変更して研究を進め、物品費が余る形になった。
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次年度使用額の使用計画 |
H28年度においては、前年度開発したナノ微粒子用の原子層堆積装置を活用し、コアシェル微粒子の製造方法の研究をすすめる。さにら前年度に繰り越した499,279円も活用し、酸化チタンと酸化鉄によるコアシェル微粒子の試作とデバイス応用研究にも取り組む。
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