血友病は、血液凝固因子の不足により血液の凝固異常が起きる遺伝病であり、出血性ショックによる死傷の危険性が高い。重篤化する出血様式は生体深部出血が中心で、有効な治療法は確立されていない。一方、カーボンナノチューブは、その優れた物理的・化学的特性によって次世代材料としての様々な応用が世界中で期待されている。本研究では、酵素反応を光熱で制御し、生体深部における血液凝固を惹起可能な新しい生体内ナノ止血技術を開発する。本研究では、最終構想に血友病モデルマウスの出血を光熱によって止血が可能なナノカーボン複合体の開発を掲げている。本最終構想を達成するために、まずは、コア技術となるリポソーム-CNT複合体の開発を目指した。また、当該リポソーム-CNT複合体の性能を評価するために、モデル生物として線虫を用い、近赤外レーザー照射に伴う生体反応を調査した。また、リポソーム-CNT複合体の線虫に与える影響を検証した。
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