研究課題/領域番号 |
15K13313
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
一木 隆範 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20277362)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ペプチドリガーゼ / タンパク質アレイ / 酵素改変 / Sortase |
研究実績の概要 |
生体内で起こっている高効率・高収率な生化学反応ネットワークを人気的に再構築することはバイオエンジニアリングの重要目標の一つである。その実現のためには生化学反応を担う様々なタンパク質を人工的に設計、配置し生化学反応ネットワークを構築するデバイスへの期待は大きい。しかしながら、タンパク質を、その機能を保ったまま思い通りに配置、集積化する技術は確立されていない。グラム陽性菌由来のタンパク質転移酵素であるSortaseは、あるペプチド配列同士を選択的に連結することから、任意のタンパク質同士の連結や、タンパク質を固相に固定化するためのツールとして用いられている。現在、連結できるペプチド配列は一組しかないが、認識配列の異なるペプチドリガーゼ改変体を複数種開発できれば、複数タンパク質の連結制御や基板上への集積化などのこうどな 分子操作が可能になると考えられる。そこで、本研究では、タンパク質やペプチドの分子間連結、固相への集積化を可能とするペプチドリガーゼを創製する手法を提案し、その効果を実証する。本年度は、Sortaseのペプチド基質を融合したタンパク質を無細胞翻訳系で合成し、Sortaseによるペプチド連結反応を利用して、基板上へ無細胞合成タンパク質を固定化する技術の開発を行った。まず、Sortaseのペプチド基質を融合した緑色蛍光タンパク質(GFP)の遺伝子を作成し、無細胞合成した。そのペプチド融合GFPと、別途合成したテトラメチルローダミン(TMR)修飾ペプチドの、Sortaseによる連結反応の確認と改良を行った。連結反応の確認は、反応の経時変化をSDS-PAGEによって追跡し、GFPおよびTMRの蛍光を発する連結体の生成を確認することで行った。また、Sortaseによるタンパク質の基板上固定のために、ペプチド基質を修飾した基板の作製方法の検討も行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Sortaseによる無細胞合成タンパク質のペプチド連結反応、およびその反応を利用した無細胞合成タンパク質の基板上固定化の検討が当初計画書に沿って進められているため。
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今後の研究の推進方策 |
Sortaseによる無細胞合成タンパク質のペプチド連結反応および基板上への固相化反応の効率向上に努めるとともに、Sortase改変体の淘汰方法の検討を進める。
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