本研究では10 nmの拡張ナノ空間を利用して単一分子を確実に衝突・反応させる極限化学反応システムの創成に向けた基盤技術の開発と物質輸送の基礎的な知見の獲得を目的とした。ガラスのトップダウン加工法による流路加工プロセスを開発して、最小でサイズ50 nm、表面粗さ3 nmのスクエア型拡張ナノ流路の作製に成功した。また、脱水反応を利用した拡張ナノ流路表面のシラノール基密度の制御方法を開発した。一方、拡張ナノ空間の表面による静電相互作用が溶質分子挙動に大きく影響することを明らかにした。これにより、単一分子衝突・反応システムに必要な流路加工・表面制御技術を確立し、物質輸送のための表面制御の指針を得た。
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