| 研究課題/領域番号 |
15K13337
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| 研究機関 | 京都大学 |
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研究代表者 |
宮内 雄平 京都大学, エネルギー理工学研究所, 准教授 (10451791)
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| 研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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| キーワード | 遷移金属ダイカルコゲナイド / バレー分極 / バレートロニクス / 光物性 |
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| 研究実績の概要 |
本研究では、電子の未利用自由度であるバレー自由度を利用する新たな光エレクトロニクス技術を開拓することを目的として研究を進めている。27年度はまず、MoS2やWSe2などの単層遷移金属ダイカルコゲナイドを機械的剥離により基板上に作製し、電荷注入のため、それを透明電極上に転写することを試みた。その結果、グラフェン上への転写が可能であることを確認できた。また、別の電荷注入手段として、電子線リソグラフィを用いて、単層遷移金属ダイカルコゲナイド上に電極を直接形成する技術についても新たに導入し、電界効果トランジスタを形成し、それが動作することを室温条件下で確認した。また、低温条件下での顕微光学測定に用いるクライオスタット中に電流導入配線を行い、ゲート電圧を変えながら低温条件下で偏光分解分光測定を行う装置系の構築を進めており、28年度前半に完成できる見込みである。これにより、28年度後半には、電荷密度を変えながら低温条件下で光学測定を行うことが出来るようになると期待される。なお、作製した単層遷移金属ダイカルコゲナイド試料に対してクライオスタット中、低温・電荷注入条件下での光学測定のテスト実験を行った結果、当該装置で、実際に試料に電荷注入を行いながら低温条件下で一連の光学測定を行えることまで確認できている。また、そのなかで、電極作製時に試料が経験する様々な化学処理が、試料の品質に影響を与えている可能性が示唆された。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
27年度の研究計画においては、単層遷移金属カルコゲナイドに電荷注入するための基盤技術を構築する予定であったが、それらの技術の確立はおおむね順調に進んでいる。また、電荷注入条件下での低温光学測定を行うための実験系の立ち上げについても、上記のとおり順調に構築が進んでいることから、進展状況を、おおむね順調に進展している、とした。
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| 今後の研究の推進方策 |
28年度の前半は、電極作製手順における各プロセスが試料の品質に与える影響を明らかにし、出来るかぎり試料の品質を高く保ったまま最終的な光学測定を行えるようなプロセスを確立する。その後、27年度に構築した光学実験系を用いて、単層遷移金属ダイカルコゲナイドにおける低温条件下での電荷密度と光物性の相関を明らかにする。電荷密度変調に用いる電解質としては、通常の電解質に加えて、室温程度～それ以下の温度かつ真空中でも液体で存在するイオン液体を用いる事で、クライオスタット中の低温条件下、かつ巨大電荷密度変調下での各種光学測定実験を可能にする。光学測定においては、円偏光励起によって単層遷移金属カルコゲナイド物質中にバレー分極状態を誘起し、発光の各円偏光ヘリシティ成分を各種偏光素子を用いて分解しイメージング測定を行う。温度及び電荷密度の変化に対して、バレー分極率や励起子寿命などがどのように変化するかを観測することで、バレー分極状態の制御への手がかりを得る。
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| 次年度使用額が生じた理由 |
27年度は、予算の効率的かつ無駄のない使用のため、最適な光学測定装置構成の検討にあたって、まずは現有の機器を使い回すことで多くの試行錯誤を行ったため、一定の次年度使用額が生じた。
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| 次年度使用額の使用計画 |
27年度に行った検討により、最適な装置構成と仕様の詳細が判明したため、これらの金額は28年度に使用する予定である。
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