バルク体で約8Kの超伝導転移温度(Tc)を示す層状超伝導物質であるFeSeは、単原子層まで薄くするとTcが60Kまで上昇することが分光測定によって明らかにされた。しかしながら、大気中の劣化などが原因で、これまで単層状態のFeSeの電気測定が困難であった。本研究では、FeSe薄膜をチャネルとした電気二重層トランジスタを作製し、電気化学反応を制御することでFeSe薄膜の膜厚を十数ナノメートルから単層レベルまでエッチングしながら電気測定する手法を確立した。この手法を用いて超伝導特性の電界効果や基板依存性を詳細に調べることにより、電子蓄積がFeSe超薄膜の高温超伝導発現に重要であることを明らかにした。
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