研究課題/領域番号 |
15K13355
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
柳原 英人 筑波大学, 数理物質系, 准教授 (50302386)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 界面伝導 / 平坦化 |
研究実績の概要 |
初年度はまずMgO(001)基板とMgAl2O4(001)基板表面の平坦化処理について検討した。どちらも大気中で1,000から1,200°Cの高温での熱処理が有効であることを確認した。続いてこれらの基板上に、オゾンガスを援用した反応性MBE法を用いて様々な条件のもとでNiFe2O4(001)およびγ-Fe2O3(001)薄膜を成膜しその物性を評価した。いずれの条件においてもNiFe2O4(001)薄膜の磁化は、バルクの値に比べて半分程度であり、良質な膜成長が実現していないことを示唆している。2端子法を用いた測定では、電気抵抗は測定限界以上であった。このことから当初期待していた異種界面における電荷の不連続性による2次元伝導が本系では確認できなかった。 そこで当初より計画通り進まなかった場合に検討していた、γ-Al2O3/SrTiO3(001)界面における伝導について着手した。α-Al2O3をターゲットとして、酸素/オゾン雰囲気でMBE成長を試みた。成膜時の基板温度や反応ガスの種類、分圧に依存して電気伝導が大きく変化することを確認した。無酸素での成長時には数分子層厚までは層状成長が認められたが、その後はアモルファス状になってしまった。一方で純オゾンや酸素を用いた場合には、100周期以上のRHEED振動が認められた。純オゾンを用いた場合には、室温での抵抗は高く、負の温度依存性を示した。金属的な界面伝導を実現するためには、ある程度の酸化力を有する酸化源が必要であることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
NiFe2O4(001)/MgAl2O4(001)界面およびNiFe2O4(001)/MgO(001)界面に於いては、期待されるような伝導がみられていない。これは実際の界面構造がより複雑になって電荷の不連続性が失われているものと懸念される。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画書にある通りMFe2O4/SrTiO3(001)についてひきつづき検討をすすめる。また2次元スピン偏極電子ガスの実現に向けて、Fe/γ-Al2O3/SrTiO3(001)等の構造においてFe電極からγ-Al2O3を障壁層としてトンネル電流の形で注入することも検討する。
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