低温超高真空STM装置を用いた原子操作により、Cu(111)表面に吸着させたFe原子やCO分子の二次元格子構造を人工的に形成した。CO分子の(8×8)超構造では、ハニカムの副格子AとBそれぞれに対応する位置でFermi準位近傍の電子状態が異なることが、トンネル電子分光やSTS測定から明らかになった。一方、同じCO分子の(6×6)超構造では、副格子の電子状態の等価性は失われないことがわかった。これらの結果は、吸着種による散乱過程により表面状態がバルクと強く結合して共鳴状態となり、表面第二層からの影響が大きくなったものと解釈され、第一原理計算を用いたシミュレーションにより再現されることがわかった。
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