研究課題
本研究では、シングルショット超高速分光法を用いて、テラヘルツ領域、ピコ秒領域の変化をオシロスコープ上でモニターできる装置を開発することを目的に研究を行った。原理としては、チャープパルスを用いて、超高速の時間応答を波長にマッピングし、それを長距離のファイバーになどの分散媒質に透過させることで、時間的に伸長したうえで単一のフォトダイオードとオシロスコープにて観測するものである。これによって、オシロスコープのトリガーレートと、レーザーの繰返し周波数のみによって制限されるレートで、超高速分光法の測定を繰り返せる手法を開発することができた。具体的には下記の3点について応用を実証した。①1kHzのレーザーを用いて、非線形光学結晶のカー効果の高速評価を実証した。②光誘起相変化材料における超高速応答の変化を測定し、相変化前後で超高速応答が大きく変化し、かつその変化にため込み効果が存在することを明らかにした。これはそれまでの超高速分光法では観測できなかった効果である。③テラヘルツ電場波形の検出を同様の手法によって行い、電場波形の計測が1kHzの高速で測定できることを示した。この結果はテラヘルツオシロスコープの実現につながる、非常に大きな成果である。また、検出にこれまでの長距離ファイバーのみではなく、チャープファイバーブラッググレーティングという、と呼ばれる特殊なファイバーを用いることで、損失なく信号波形を伝搬させることに成功し、高い信号雑音比を実現しつつ、超高速応答を高繰り返しで測定することに成功した。また、波形取得に使用させるチャープパルスのパルス幅を大きくすることによって、様々な時間窓で超高速応答が測定できることも示した。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 2件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 8件、 招待講演 1件) 備考 (2件)
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