研究課題
平成28年度までに、本課題で目標としていた渦巻き成長誘起技術の確立、他サンプル(ウシ脾臓由来インシュリン)への技術適用、本技術で得られた単結晶の評価まで一連を完了することができた。また、その成果についても平成28年度中に報告することができ、Nature Photonics誌に掲載されるに至った。そのため平成29年度には、本技術を幅広い材料に展開するために、有機低分子アスピリンなどを新たなモデル物質として取り扱う挑戦を行った。また、鶏卵白リゾチームに関しても、別の結晶面に対して技術適用を行う検討を行った。鶏卵白リゾチームについては、これまでに正方晶{110}面へのレーザー照射を行っていた。今回、鶏卵白リゾチーム正方晶{101}面へのレーザー照射を試みた。この面は通常二次元核形成が支配的に進む面であったが、{110}面と同様に渦巻き成長を誘起することに成功した。この時の成長丘は、{110}面に照射した時に比べて同心円状に近い形状になることが分かった。有機低分子のアスピリン結晶については、本研究室のフェムト秒レーザーで核形成を誘起できる条件が明確になった。この条件に基づき、単結晶をレーザー照射可能なサイズまで育成できる条件も明確化した。このようにして得られたアスピリン単結晶にレーザー照射を行ったところ、リゾチームと同様の条件では結晶が破砕された。アスピリン結晶は板状の結晶のため、レーザーの強度のさらなる微調整が必要であった。その後の検討で、アスピリン単結晶を破壊しないレーザー強度が分かった。
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Applied Physics Express
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