研究課題/領域番号 |
15K13382
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
李 艶君 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50379137)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 近接場光学顕微鏡 / 超高感度化 / 超高分解能化 |
研究実績の概要 |
1)カンチレバーの変位検出計の高周波化と低ノイズ化を実現した。共振周波数の高いカンチレバーを使用できるように、変位検出計の高周波化と低ノイズ化を実現した。具体的には、変位検出計にアバランシェフォトダイオードを導入し、高周波化を実現した。 2)カンチレバーの高周波化・小振動動作による高感度化・高分解能化を実現した。近接場光による力を高感度・高分解能に測定するため、従来のカンチレバーに比べて、ばね定数が大きく、共振周波数の高いカンチレバーを導入した。カンチレバーの熱振動が減少し、力の検出感度が向上した。また、小振動振幅での動作により、探針・試料間の相互作用時間が長くなり、力の検出感度が一桁以上向上した。 3)バックグランド光を低減した光照射系を実現した。振幅変調された光をカンチレバー先端に照射し、カンチレバーの周波数シフトに現れる変調成分をロックインアンプで検出すことにより、近接場光成分を測定した。光学レンズやプリズム表面での不要反射が極限まで低減するように照射光学系を改良した。 4)近接場光の最適観察条件の実験的検討をした。具体的には、周波数シフト曲線(周波数シフトの探針・試料間距離依存性)を測定し、次に、これを数値計算により力曲線に変換し、さらに、様々な振動振幅に対する周波数シフト曲線を導出した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1)共振周波数の高いカンチレバーを使用できるように、変位検出計の高周波化と低ノイズ化を実現した。具体的には、変位検出計にアバランシェフォトダイオードを導入し、高周波化を実現した。また、検出感度が光源のモードホップノイズにより制限されているので、半導体レーザに高周波変調を重畳することによりモードホップノイズを低減し、変位検出計の低ノイズ化を実現した。 2)近接場光による力を高感度・高分解能に測定するため、従来のカンチレバーに比べて、ばね定数が大きく、共振周波数の高いカンチレバーを導入した。カンチレバーの熱振動が減少し、力の検出感度が向上した。また、小振動振幅(0.1nm程度)での動作により、探針・試料間の相互作用時間が長くなり、力の検出感度が一桁以上向上した。同時に、短距離力に対する感度が向上し、空間分解能も向上した。 3)振幅変調された光をカンチレバー先端に照射し、カンチレバーの周波数シフトに現れる変調成分をロックインアンプで検出することにより、近接場光成分を測定した。近接場光を高分解能に検出するためには、バックグランド光を低減した光照射系を実現することが重要である。そこで、光学レンズやプリズム表面での不要反射が極限まで低減するように照射光学系を改良した。なお、照射光源としては、現有の青色半導体レーザを使用した。 4)近接場光を最も高感度に測定するための条件を実験的に検討した。具体的には、周波数シフト曲線を測定し、次に、これを数値計算により力曲線に変換し、さらに、様々な振動振幅に対する周波数シフト曲線を導出した。この周波数シフト曲線に対する信号対雑音比を求め、最も感度の良くなる観察条件を求めた。
|
今後の研究の推進方策 |
1)近接場光学顕微鏡の超高感度化・超高分解能化を実証する。 2)サファイア表面を用いた画像化機構を検討する。 3)吸着分子を用いた画像化機構を検討する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
必要な消耗品を購入し、残った分を次年度に繰り越した。
|
次年度使用額の使用計画 |
次年度の予算に追加し消耗品で使用する予定である。
|