研究課題
市販の希釈冷凍機や衛星に搭載できるほど小型で、0.8 mKの超低温を10 nWの冷却力をもって連続発生できる核断熱消磁冷凍装置の開発を進めた。超伝導Zn熱スイッチは、構成部品のZnとAg熱リンクの熱処理や接合条件を最適化して製作した。T = 4.2 Kでスイッチ全体の残留電気抵抗値を測定したところ、114 nΩとほぼ要求性能(100 nΩ以下)を満たすことが分かった。これを希釈冷凍機に搭載し、スイッチ「開」時の熱伝導度を70 ≦ T ≦ 900 mKの範囲で実測した。結果はZnの超伝導状態の熱伝導率の文献値でよく説明でき、設計通りの熱絶縁性を有することが確認できた。また、断熱消磁用マグネットを外径0.14 mm、54芯のNbTi線で巻き、高透磁率材FeCoVで磁気シールドした上で中心軸上の発生磁場分布を4.2 Kで測定した。結果は数値計算とよく一致し、設計通りの性能(最大発生磁場1.4 T)をもつことを確認できた。また、磁場掃引したときの磁気ヒステリシス由来の発熱量を4.2 Kの断熱真空中で実測し、発熱量は掃引速度に依らず60-70 mJであることが分かった。これは、同じ超伝導線のショートピースで実測した磁気ヒステリシスからの予測と一致する。すなわち、この発熱を希釈冷凍機の分留器で吸収すれば、必要な1 mT/sの掃引速度が実現できることが確認できた。
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Journal of Physics: Conference Series
巻: 969 ページ: 012093~012093
10.1088/1742-6596/969/1/012093
http://kelvin.phys.s.u-tokyo.ac.jp/files/CNDR_cssj_160509.pdf