研究課題
高速に光の偏光をスイッチングすることが可能な高周波アンジュレータに関する開発研究を行った。本研究で開発するマイクロ波アンジュレータは、電子を水平・垂直方向に振動させる2つの直行する電磁場モードをマイクロ波空洞内に励振させ、これら2つの電磁場モードが重畳することによりビーム軸に沿って螺旋状の(ヘリカル)電磁場分布を形成する。高周波空洞の共振周波数は11GHz付近のXバンドとし、リッジ構造を採用することにより強い偏向場を生成するようにした。また、高周波の入力カップラー部の設計は困難を極めたが空洞主要部分のリッジ部にビーム進行方向にわたりほぼ均一強度の偏向電磁場を作り出すことが電磁場計算により確認することができた。この電磁場計算をもとにマイクロ波空洞試作機を製作しその性能を評価した。高周波の位相を反転させることにより、高周波空洞内の電磁場モードをIQ変調器により高速に操作するシステムを構築した。当初、高周波はSバンドを使用する予定であったためXバンドの試験空洞を用いた電磁場スイッチングの測定を実施することはできなかった。また一方で、テラヘルツ波領域の時間的にコヒーレントなアンジュレータ放射を発生し、その可干渉性を利用して直線偏光したアンジュレータ放射から左右円偏光や楕円偏光、直線偏光の光を発生することについても検討した。マーチン・パブレット型の干渉計を用いることによって高速に偏光スイッチングをするシステムも考案し、テラヘルツ領域ではあるが試験的なビーム実験を実施し、直線偏光の放射から円偏光や楕円偏光の放射へと変換することを確認した。
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Infrared Physics & Technology
巻: 93 ページ: 335~339
https://doi.org/10.1016/j.infrared.2018.08.011