研究課題/領域番号 |
15K13403
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
中川 桂一 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 研究員 (00737926)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 放射光 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,サブナノメートル・フェムト秒の時空間分解能を持つシングルショット連続撮影法を開発することである.そのために,近赤外光を用いて原理実証されている超高速撮影法Sequentially Timed All-optical Mapping Photography (STAMP) をX線の領域に適用する. STAMPではまず波長がわずかに異なるパルス列を,それぞれ撮影時間に合わせて時間差をつくり,サンプル(観察対象)に照射する.その後,サンプルの像情報をもったパルスを分光的に分けて検出し,最後に「時間-波長-空間」の対応関係から動画像として再構築する.即ち,サンプル前の時間的変調を行うデバイスと,サンプル後の空間的変調を行うデバイスの2つが必要となる. 本研究ではX線自由電子レーザへの適用を目指している.システム前半において,当初の案ではアンジュレータから放出されたX線をシリコン薄膜結晶の組み合わせにより波長ごとに時間差をつける予定であったが,この案ではデバイスが複雑になるため,開発に困難さがあった.そこで新たな手法として電子ビームにモジュレーションを加える方法を検討している.また,システム後半の検出側に関しても,それぞれの波長をスプリットし個別に検出する方法に加え,多数の孔のあいたマスクを用いたCompressive sensingによる再構成法の応用について解析を進めている.実験はまず可視光や軟X線による原理検証を行い,X線自由電子レーザにおける硬X線での応用へ目途をつけるよう進めている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初構築を計画していたイメージングの原理より,より簡易に操作を実現できるであろう新しいアイデアの考案に至ったため,そちらの検討を続けている.本手法に対しおおよその見通しができたら直ちに開発に移る予定である.
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今後の研究の推進方策 |
現在,検討中の手法に関して解析を進め,必要な仕様を明らかにしたのち,原理実証実験に入る.原理実証実験はX線自由電子レーザでの実験の前に,より簡易に実験のできる可視光,または軟X線を用いたシステムを通して行う予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
先述の通り,開発するシステムの構成に変更が出たため,研究開発計画および必要となる機器・部品に変更が出ている.当初申請していた前年度での予算計画を前年度中に無理に執行する予定は,次年度に計画的かつ有意義に使用した方が良いと判断したため,次年度使用額に変更が生じている.
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次年度使用額の使用計画 |
本年度は昨年度に獲得を考えていた,システム構築のためのコンポーネントおよび特殊な光学素子の加工費にあてる予定である.
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