研究実績の概要 |
透過型X線撮像装置は物質の内部を非破壊で観察できることから基礎研究から産業利用まで様々な分野で活用されている。マイクロフォーカスX線源を用いたX線撮像装置では、電子銃からの電子線を電磁レンズでターゲット金属上に集光照射しX線を発生させる。焦点の下流に試料を配置し、透過したX線を2次元検出器で測定することにより試料の拡大X線像を得ることができる。このとき像の空間分解能は光源サイズと2次元検出器の分解能で決まる。被写体が検出器に密着する場合は検出器の分解能によるが、被写体が光源側に近づくにつれ光源サイズにより分解能が決定される。硬X線領域の2次元検出器の分解能(数十um)と感度はトレードオフの関係にあり、強度の弱い実験室系X線源を用いる場合は検出器の分解能を犠牲にする必要があり、高分解能化のためには微小光源が必須となる。しかしながら、電子線の集光サイズを小さくし光源サイズを小さくすると比例して投入電力も小さくしなければならず、空間分解能とX線強度のトレードオフはX線撮像装置の本質的課題として甘受されてきた。 本課題では, 埋め込みⅩ線光源を用いることにより、高空間分解能イメージングを実用的な測定時間で実現する実験室系の透過型X線撮像法の実証を目的とする。数10 um領域の空間分解能の実証例の取得から始め、次年度後半で更なる高空間分解能の実証を目指す。 平成27年度は数10 um径の埋め込みターゲットを作製し、画像取得を行った。現在、像再構成処理技術の検討中である。
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