研究課題
本研究では、極短パルス高ピーク出力レーザーの最先端技術に基づく革新的なレーザー駆動複合量子ビーム照射場を宇宙機搭載電子デバイスの宇宙線影響評価へ応用することを目指し、発生放射線の基礎データ取得と半導体デバイス誤動作シミュレーション手法を開発することを研究目的にしている。これまでの研究実績は以下の通りである。最終年度は主として、レーザー駆動加速イオンの計測・診断用にトムソンパラボラ分光器と輝尽性蛍光体フィルムであるイメージングプレート(IP)を組み合わせたエネルギー分布計測系を構築し、IP発光解析モデルに基づく機械学習法による自動イオン分類法を新規開発した。放射線医学研究所HIMAC施設にて、C及びXeイオンのIP照射実験を行い、提案した発光モデル式の妥当性やパラメータの決定を行った。また、測定したIP輝度分布からイオン種を同定するために機械学習法による自動イオン分類法を適用し、その有効性を実証した。初年度に開発した電子線エネルギー分布計測手法と合せ、レーザー駆動複合量子ビーム照射場の特性評価用基本測定システムを構築できた。半導体デバイス誤動作シミュレーションのために、粒子・イオン輸送計算コードPHITSによる電荷付与計算と付与電荷輸送に対する簡易的な有感体積(SV)モデルを組み合わせたシミュレーション手法を開発した。陽子に対して、単色エネルギーによる測定データに見られる入射エネルギー依存性を再現できることを確認し、前年度QST関西光科学研究所のJ-KAREN-Pで測定された陽子の連続エネルギー分布を入力して、1陽子入射当たりのシングルイベントアップセット確率の計算を実施した。以上の検討を踏まえ、レーザー駆動複合量子ビーム照射場に対してPHITS+SVモデルによる半導体デバイス誤動作シミュレーションの可能性を示せた。
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レーザー研究
巻: 46 ページ: 印刷中
Appl. Phys. B
巻: 123 ページ: 197-1, 197-7
10.1007/s00340-017-6771-2