動径基底函数(RBF)を用いた球面浅水波モデルに対し,いくつかの準一様節点を用いて標準実験を行い,節点配置が精度や保存性に与える影響について調べた。比較した準一様節点は,最小エネルギー節点(ME),正二十面体節点(NI),球面螺旋節点(SH)である。最小エネルギー節点は,電荷を配置して反復的に平衡状態を計算して求める。本研究では,先行研究の著者が計算した配置を利用した。正二十面体節点は正二十面体を再分割して得られる。非静力学大気モデルNICAMに用いられている,正二十面体から球面への投影による歪みをバネ力学で一様化したものを用いた。SHは両極を一つの曲線でつなぎ,螺旋上の節点間隔と螺旋の巻きと巻きとの間隔が等しくなるように生成する。 3つの節点分布の一様性を理想的な積分重みからのずれを計算して比較した。MEには「傷」と呼ばれる非一様な領域が存在し,反復解が大域最小解に収束していないことが示唆された。NIは辺や面では誤差は小さいが頂点付近で誤差が大きい。SHの一様性は卓越しているが,螺旋の曲率が大きい極付近でやや誤差が大きいことが分かった。 定常性を調べる実験では,SHとNIはMEと比較して誤差が小さくなる傾向が見られた。より現実的流れでは,誤差の差異は不明瞭であるが,保存性に顕著な差異が認められた。MEは,質量とエネルギー,渦度,発散全て他の節点と比較して大きく変動した。NIは質量の保存性は良好だが,エネルギーに振動が見られたが,渦度と発散の保存性が極めて高い。SHはどの変数も比較的保存性が良好である。標準実験の結果は,MEと比較してNIやSHが精度や保存性の点で優れていることを示している。 SHは精度上の利点に加えて,NIとは異なり生成が容易で節点数に対する制約がなく,反復計算が不要である利点があるため,球面上の偏微分方程式を解くための節点として有用であると考えられる。
|