NEMS(ナノ電子機械)の使用時に摺動界面で起こるナノ動摩擦には、滑り速度が閾値を超えるとナノ動摩擦力したがってエネルギー散逸レートが飛躍的に増大する閾現象が普遍的に見られ、物性パラメタに対する閾特性の依存性について閾法則が成り立つ。摺動界面で相接する結晶それぞれにおいて、滑りに伴い界面近傍に強制振動が引き起こされ、波として摺動方向に伝播する。位相整合条件を満たす格子振動モードの共鳴励起がきっかけとなり、原子間相互作用の非調和性を介したエネルギー散逸が促進される。位相整合条件に加え、前述の強制振動の時空パターンが、滑り速度の閾値および閾特性を決定づける鍵であることを、当該研究で突き止めた。
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