研究課題/領域番号 |
15K13425
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
岡田 聡一 名古屋大学, 多元数理科学研究科, 教授 (20224016)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | Painleve方程式 / 対称関数 / 組合せ論 |
研究実績の概要 |
Painleve 方程式は新しい特殊関数の探求を動機として 19 世紀末に発見された 2 階常微分方程式であるが,現在では q-Painleve 方程式,楕円 Painleve 方程式などの一般化も導入されている.この研究では,これらの Painleve 型方程式の解のタウ関数として現れる特殊多項式(梅村多項式など)の組合せ論的構造を解析し,その組合せ論的構造の由来を明らかにすることを目標としている. 2016 年度は,Painleve 方程式がソリトン方程式の相似簡約として得られることに着目して,KP 階層のタウ関数と対称関数との関係から研究を進めた.執行,中屋敷との共同研究において,KP 階層のタウ関数で原点で 0 となるものを Schur 関数によって展開したときの展開係数が行列式で表されること,そしてこの行列式表示によって解が特徴づけられることを証明した.また,Sylvester の公式の一般化,Giambelli の公式の skew Schur 関数への一般化,およびその Pfaffian 版,Q 関数版を見出した.さらに,C 型ルート系に付随した Q 関数(Hall-Littlewood 関数において t=-1 としたもの)については,積に関する構造定数の正値性などのいくつかの予想を得るとともに,特別な場合を証明した.UC 階層に関連して,分割の対に対して定まる有理型 Q 関数の性質を明らかにした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
KP 階層のタウ関数の研究を通じて,行列式に対する Plucker 関係式の Frobenius 表示を用いた定式化や,Sylvester の公式の一般化を得ることができた.これらの研究成果はさまざまな場面で応用できることが期待される.
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今後の研究の推進方策 |
2016 年度の研究で得られた行列式,Pfaffian の公式の応用も視野に入れる.
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次年度使用額が生じた理由 |
参加を予定していた研究集会の開催時期が重なりそのうちの1つにしか参加できなかったため.
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次年度使用額の使用計画 |
共同研究者との研究打ち合わせを実施し,関連する研究集会に参加するための旅費として使用する.
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