今後の研究の推進方策 |
引き続き他大学の種々の分野の研究者との交流を持ち,また各地の研究集会(特に京大数理研, 代数学シンポジウム,仙台,広島,早稲田での数論の集会)に参加し,研究連絡や情報の交換,議論を行う. Zagier 教授とは招聘により, 直接会って議論をする. 渡航または招聘によりMckay 教授と会って議論をする機会を設けたい. 彼はムーンシャインの大家であるが, 既に二変数 j 関数の定義と発見した性質については伝えてある. それに彼は非常な興味を示し,いくつかの質問も寄せて下さった. これについてそれまでに考えたことをもとに議論を深める. アメリカの Duke 教授,またはスイスの Imamoglu 教授を訪ね,彼らの以前の結果(これは 我々の「値」そのものではなく,そのある種の「平均」を考え,それを係数とする母関数を作るとそれが重さ半整数のモックモジュラー形式になる,というものである.しかも, モックモジュラー形式には “shadow” と呼ばれる別の(真の)モジュラー形式が付随するが,これが実に,私が以前発見したjの係数公式で重要な役割を果たした, j -関数の虚二次点での値の平均の母関数になっているのである)について詳細に議論し, 27年度の研究と合わせ, そこから数論的な何かが取り出せないかを探る. またj-関数以外のモジュラー関数についての実験をはじめ,データを蓄積する. これによって j-関数特有の現象と一般的な現象を切り分け,その意味するところを考えるための材料とする. 実二次体の caliberについても秋山茂樹, 中島匠一らと議論を行う.
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