今後の研究の推進方策 |
引き続き他大学の種々の分野の研究者との交流を持ち,また各地の研究集会(特に京大数理研, 代数学シンポジウム,福岡,仙台,広島,早稲田での数論の集会)に参加または主催し,研究連絡や情報の交換,議論 を行う. Zagier教授とは引き続き,招聘または渡航により, 直接会って議論をする. またアメリカの Duke 教授 およびスイスの Imamoglu 教授と5月にドイツで会う予定で,j-関数の実二次点での「値」に関する彼らの以前の結果 (これは 「値」そのものではなく,そのある種の「平均」を考え,それを係数とする母関数を作るとそれが重さ半整数のモックモジュラー形式になる,というもので, さらには,モックモジュラー形式に付随する “shadow” と呼ばれる別の(真の)モジュラー形式が, 私が以前発見したjの係数公式で重要な役割を果たした, j -関数の虚二次点での値の平均の母関数になっているという驚くべきものである)について詳細に議論をし,そこから数論的な何かが取り出せないかを探る. 大学院生松坂が,私のj-関数の係数公式をレベル付きの場合に一般化しており,これに関連してレベル付きのモジュラー関数の研究を研究室の面々が色々と行っている.これらを手がかりにして,本研究構想を進展させていくつもりである.またVOAの第一人者宮本雅彦が九大での集中講義を予定しており,彼との議論によってVOA方面の理解を深め,これまでの永友らとの研究からの寄与をより実質的なものにする.
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