研究課題/領域番号 |
15K13431
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
石川 剛郎 北海道大学, 理学研究院, 教授 (50176161)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | グルサ分布 / グルサ・サブリーマン変分問題 / 高次視覚モデル / ルジャンドル曲線の特異点 |
研究実績の概要 |
接触構造の延長であるグルサ微分式系のサブリーマン幾何の特異性・対称性を明らかにし,グルサ・サブリーマン幾何における成果を,視覚理論への接触サブリーマン幾何の応用に基づき,高次視覚モデルの研究に応用する.さらに,応用により得られる知見を,グルサ系の一般化に反映させることを目的とする.具体的な研究目標は,グルサ・サブリーマン構造を利用した視覚モデル理論の高次化,グルサ・サブリーマン変分問題の特異解の視覚モデルへの適用,一般グルサ構造の対称性・特異性理論の構築と視覚モデルへの応用,である. 28年度は,視覚機能に関する理論を基に,高次化したグルサ・サブリーマン幾何の基礎理論を確立し,モデルに反映させる研究を行った.また,サブリーマン幾何に関わる写像の特異点論に関して,本研究課題で派生しフィードバックされたルジャンドル特異点論の問題について研究を行った.研究課題の研究によって得られた知見を含む結果として国際的学術雑誌に論文を発表している.特に,9月にスペインのマラガにおいて開催された研究集会「VIII International Meeting on Lorentzian Geometry」に参加し,研究発表「Null frontal singular surfaces in Lorentzian 3-spaces」を行った.また,平成28年度において,共著論文「Goo Ishikawa, Tatsuya Yamashita, Singularities of tangent surfaces to directed curves」および単著論文「Goo Ishikawa, Singularities of frontals」を執筆し,現在,国際学術雑誌に投稿中である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
概ね順調に研究が進展している.視覚機能に関する理論を基に,高次化したグルサ・サブリーマン幾何の基礎理論を確立する部分は順調に研究が進んでいる.また,サブリーマン幾何に関わる写像の特異点論に関して,本研究課題で派生しフィードバックされたルジャンドル特異点論の問題について研究も進んでいる.従来の視覚モデルおよびモデルに関する理論・実験結果の収集を行い,マンフォードによるエラスティカの理論を精密化した視覚モデル理論,特に脳の視覚の視覚野V1 等の機能解明のモデルとして,平面接触要素の作る3次元接触多様体上の接触構造および,その上のサブリーマン変分問題平面曲線の変分問題を,そのLegendre 持ち上げに関する変分問題として考える「かざぐるま理論」などに関する情報収集を行い,さらに先行研究に関する情報収集を行っているが,理論をモデルに適切に反映させる研究については,さらに新しい知見が必要であることが判明している.
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今後の研究の推進方策 |
28年度年度に得た知見,基礎理論をもとに,研究の軌道修正も視野に入れながら,モデル化を進め,さらに,展開した応用研究に基づき,応用上必要となる理論をサブリーマン幾何学およぶ関連する特異点論にフィードバックする. 研究成果の発表としては,9月にポーランドのバナッハ研究所で開催される研究会「Geometric and Algebraic Singularity Theory」に参加し,研究課題に関連する研究成果の発表・公表をすみやかに実施する.こうして高次視覚モデルの解明への応用をさらに進める所存である. 並行して,研究課題の中心となる知見として,グルサ分布の分類問題と,ルジャンドル曲線の特異点の分類問題の関係性があるので,そのテーマに関して,現在連携研究者と執筆を開始している共著論文「G. Ishikawa, P. Mormul, Moduliin the Goursat Monster Tower interpreted on the Goursat and Legendre sides of the mirror」を完成させ,さらに,グルサ・サブリーマン構造の一般化を含めた,サブリーマン幾何の発展へも貢献する仕事を行う予定である.グルサ系の一般化,およびその解の特異性,対称性を考察する. 関連した応用研究の情報を再確認すると共に,関連研究者との討論を行う.グルサ・サブリーマン構造の正常・異常曲線と視覚理論への応用に関する論文の執筆を行い,さらに報告書を作成する.
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次年度使用額が生じた理由 |
28年度に実施予定だった研究成果発表および研究連絡のための海外出張が次年度に変更になったため.
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次年度使用額の使用計画 |
28年度に実施予定だった海外出張を29年度に実施し,その旅費として使用する.
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