研究課題/領域番号 |
15K13434
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
河野 俊丈 東京大学, 数理(科)学研究科(研究院), 教授 (80144111)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | 離散幾何学 / 代数曲面 / 曲率 |
研究実績の概要 |
本研究は,位相幾何学における離散群,定曲率曲面,代数曲面などの研究対象に対して,それらを可視化し,実際に3次元の幾何学模型を制作する技術とそのための基礎理論を開発することを目的とする.離散データをSTLファイルなどの形式に変換して3Dプリンターで出力する手法は,現在では広く行われているが,本研究は,金属を削ることにより極めて精度の高い幾何学模型を制作すること,離散群の極限集合など,これまでは模型として実現が困難であった対象について,クリスタルガラスの中にレーザー光でプロットする手法を確立することなど,新しい技術を開発しこれらの技術を応用して産学連携によって実際に模型の作成に成功した.また,離散的点データから,曲面のガウス曲率,平均局率などを計算する離散幾何学の基礎理論を構築することについて進展があった.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初予定していたよりも基礎的な技術開発が早く進み、産学連携により、実際に金属の加工機械に実装して、代数曲面、定曲率曲面などのきわめて精密な模型を製作することができた。
|
今後の研究の推進方策 |
現代の数学には,曲面論のみならず,離散群の極限集合,特異点理論,葉層構造,可積分系における解の挙動など模型として制作する事により,研究および教育に大きく貢献すると思われる題材が多くある.しかしながら,コンピュータの画面上の表示することができても,それを実際の3次元模型として制作するには,さまざまな困難がある.まず,離散点データからどのようにして曲面を削りだすのに適したファイル形式を構成するかという問題がある.実際に刃を当てて削るには,曲面の法線方向のデータを適切に取り込む必要がある.また,離散群の極限集合などの対象については,クリスタルガラスの中にレーザー光でプロットする手法を開発中であり,4次元クライン群の極限集合の3次元模型について,これまでに試作を行ってきた.本研究では,3Dプリンターなどでは表現できないような対象も含めて,より精度の高い3次元実体模型の制作のための技術を開発することを目的とする.
|