研究目的の、特に量子ウォークに関して、以下のような結果を得ることができた。[1] 量子ウォークを定めるユニタリ行列の成分を四元数に拡張した 1 次元四元数量子ウォークを提案した。さらに、1次元系を一般のグラフまで拡張した四元数量子ウォークに関し、その右固有値を求める簡易な手法を見つけ、それを用いることにより、種々の四元数量子ウォークの右固有値と固有ベクトルを求めた。それにより、通常の量子ウォークとの比較を行うことが可能となった。[2] 1次元系で2相系1欠陥をもつ量子ウォークの極限定理を求めることに成功した。この結果は、1次元系のトポロジカル絶縁体などへの応用が期待される。[3] Wojcikモデルに対して、時間平均極限測度と弱収束極限定理を得ることが出来た。そのことにより、既に求められていた定常測度との比較を行うことが可能となった。[4] 1次元系の多くの量子ウォークに対して、種々の定常測度を求めた。その中には、非一様な定常測度も存在する。例えば、アダマールウォークの場合には、従来一様な定常測度しか知られていなかったが、今回は2次の多項式オーダーで遠方にて発散するような、新しいタイプの定常測度を発見した。3 状態系のモデルではそれを 2 状態に落とし込む巧妙な手法も見つた。また、対角行列を量子コインに持つモデルに関しても定常測度を求めることができた。[5] 2次元系で4状態の量子ウォークのあるクラスに対して、弱収束極限定理を求めることに成功した。[6] サイクル上のアダマールウォークについて、その全ての総頂点数に関し、周期を求めることに成功した。[7] 1 次元 3 状態のグローヴァーウォーク,および、その 1 欠陥モデルに関し、種々の定常測度を求めることができた。特に、通常のグローヴァーウォークについては、その極限測度に一致するような測度を求めることが可能となった。
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