研究課題/領域番号 |
15K13446
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研究機関 | 岩手県立大学 |
研究代表者 |
村木 尚文 岩手県立大学, 総合政策学部, 教授 (60229979)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 非可換確率論 / 独立性概念 / 自由独立性 / q-変形独立性 / q-変形畳み込み / 普遍積 / 極限定理 |
研究実績の概要 |
本研究の目標は、非可換確率論における独立性の概念の構成と分類を行うことである。本年度は、昨年度に引き続き、q-変形独立性の構成とその基本的な性質を探求した。ここでいう q-変形独立性とは、自由独立性と古典独立性を補間する独立性概念の1径数族である(q=0で自由独立性、q=1で古典独立性と一致する)。この「 q-変形」は、Bozejko-Speicher の q-Fock 空間と q-正準交換関係の概念に整合的であるというの意味での q-変形である。この q-変形独立性はその存在が証明されてはいない仮想的な独立性概念である。筆者は、ここ数年来このq-変形独立性の構成について研究しており、Speicher の定義による普遍計算規則という意味での独立性概念から結合法則の要請を落とした形で、この独立性概念を構成できたと考えている。しかし、細部について詰めが甘い部分があるため、昨年度は、細部について厳密な証明を与える作業を行った。今後も論理的に詰める作業を引き続き行う予定である。また、この q-変形独立性概念を出発点として、古典確率論の幾つかの基本概念を q-変形することを試みた。特に、q-変形畳み込みについて、結合法則や、レヴィ=ヒンチン型の表現定理、そして極限定理について探求した。これらの性質は、確率測度の台がコンパクトな場合には成立するであろうとの論拠を得ているが、きっちりと論証の細部を詰めることは今後の課題である。また、確率測度の台が非コンパクトな場合について、これらの結果を拡張することも今後の課題である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画通り順調に進行していると自己評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
2016年度に購入した Mathematica を活用し、必要に応じて数学実験を行い必要なデータを入手し研究を進める。紙の上での手計算による研究とパソコンによる計算を併用し効率的に研究を推進する。また、国内、国外で開催される研究集会に参加し最新の研究動向に目を配り、研究を遂行する上での新しいヒントを得て多角的な視点から問題にアプローチしていく。必要に応じて書籍やパソコンを購入し研究体制を強化しつつ、研究を遂行していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
大学運営等に時間を取られたため研究集会等に参加する時間を確保することができず、研究費を有効に活用する機会が限定されてしまった。そのため、研究費を計画通りに使用することができず、次年度に積み残すこととした。
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次年度使用額の使用計画 |
できるだけ機会をとらえて研究集会等に積極的に参加し、研究推進のための情報を獲得することに研究費を使用する計画である。
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