幾何学の領域において非ユークリッド幾何学の発見が「いろいろな幾何学たち」の存在という観点をもたらしたことはよく知られている。本研究では「非可換な世界」(物理的には量子論と関係する)という設定の下で、「確率論の領域においても『いろいろな確率論たち』が存在するであろうか、もし存在するのであればその具体例を構成せよ」という問題に対して、新しい独立性概念の構成という観点からアプローチした。その結果、q変形独立性、捻じれ独立性という新しい独立性に基づいた2つの新しい「確率論」の諸定理を得ることができた。また、相互作用フォック空間のパラメータの典型的な値に対して、独立性概念の存在の不可能性定理を得た。
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