研究課題/領域番号 |
15K13451
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
大谷 光春 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (30119656)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 集合値関数 / 非線形楕円型方程式 / 非線形放物型方程式 |
研究実績の概要 |
N-次元ユークリッド空間の有界領域 Ω において,次の準線形非線形楕円型方程式 - Δp u(x) + A u(x) + G u(x) = f(x) の解の存在について研究した.ここで, -Δp は強い非線形性をもつ所謂 p-Laplace 作用素であり A は劣微分作用素で表される極大単調作用素,G u は集合値関数を許す摂動項,f は与えられた外力項である. 特に摂動項 G u が,一価関数の連続性の集合値関数への拡張概念である上半連続性(usc)及び下半連続性(lsc)を有する場合を取り扱った. G u には,指数 p,空間次元 N と A に依存する増大度を課した上で,シャウダー型の不動点定理により解の存在を証明した.G が上半連続の場合には,G u の閉凸性の仮定のもとに多価写像に対するシャウダー型の不動点定理である Kakutani-Ky Fan の不動点定理を応用した.G が下半連続の場合にはG u の閉性(凸性は不要)の仮定のもとに,Tolstonogov のselection 定理(下半連続多価関数から連続な一価関数を選び出す定理)を経由して選び出された一価写像に対して,通常のシャウダーの不動点定理を適用して解の存在を示した. この際,常微分方程式論で蓄積されてきた理論の偏微分方程式論への移植が必要であり,実際それが可能であることがこれ等の結果により実証されたことは意義深い.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
非線形楕円型方程式に対しては,ほぼ研究開始前に想定していた条件下で,解の存在を示すことができた.
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今後の研究の推進方策 |
今後は,非線形楕円型方程式に対する研究で蓄積された知見を基礎にして,非線形放物型方程式の時間局所解の構成及び時間大域解の構成を試みる.
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次年度使用額が生じた理由 |
共同研究者の V. STAICU 教授(アヴェイロ大学・ポルトガル)今年度は来日できなかったため,招へい費用が余剰となった.
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次年度使用額の使用計画 |
来年度のSTAICU 教授の招へい費用または申請者のアヴェイロ大学への渡航費に充当する.
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