研究実績の概要 |
1.「離散・連続に続く新たな数理的概念の提案と,それに基づく分離困難な多重スケールを持つ現象の数理的記述および理解の探求」を目標とし, ナノ粒子分散系のダイナミクスに対する「下から上への評価」すなわちナノ粒子および凝集体を離散個体として扱う流体内N体問題および混相流仮定による「上から下への評価」基盤とした数値計算を通して研究を進めた。数値計算データが示す特徴と実験データが示す特徴の整合性を確認およびナノ粒子分散系のダイナミクスに対する2種の近似的評価の相違点はある程度明らかになったが, 「離散と連続のちがい」を十分に示唆するデータを入手する段階まで達することはできなかった。
2. 流体内ナノ粒子の基本的なダイナミクスに対する数理的な理解を深めるため, 2次元空間内に孔のあいた壁と1つの円形ナノ粒子を考え,流れにシアが存在する場合について,ナノ粒子の挙動を記述するシンプルな数理モデルの作成を試みた。現在, 数理モデルを検証する数値実験のための数値計算プログラム作成途中である。ここでの設定は2次元であり,現実の系や行っている数値シミュレーションの設定とは異なるが,解析的な問題の扱いであることにより流体内ナノ粒子のダイナミクスに対するより明確かつシンプルな示唆を得る可能性がある。
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