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2017 年度 実績報告書

可積分アルゴリズムのブレークダウンへの挑戦

研究課題

研究課題/領域番号 15K13457
研究機関京都大学

研究代表者

中村 佳正  京都大学, 情報学研究科, 教授 (50172458)

研究分担者 關戸 啓人  京都大学, 国際高等教育院, 特定講師 (40718235)
研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード離散戸田方程式 / ランチョス法 / ブレークダウン / 連立1次方程式の反復法
研究実績の概要

C. ランチョス(1950,1952)による正定値対称行列の3重対角化法において,離散戸田方程式(qd法)の時刻0→1の時間発展とみなせる式が導出されている.これは共役勾配法(CG法)の発見(1952)に僅かに先行するとともに,連分数展開を用いたルティスハウザー(1954)のqd法の発見に先駆けるものであった.本研究では,このランチョスのアイデアを一般化することで,multistep progressive algorithm (MPA)と名付けるランチョスの前進型アルゴリズムの多段拡張を定式化した.さらに,MPAの連立1次方程式の反復法である共役残差法(CR法)とその一般化,固有ベクトル計算,ガウス型積分公式計算への応用について成功させた.以上の結果を英国のJ. Phys. A: Math. Theor.紙に論文発表した.
ランチョス法はブレークダウンしやすいという欠点を持っている.これは数値誤差の蓄積によってランチョスベクトルの直交性が失われることに起因するが,ランチョスパラメータの計算では零割の発生として現れる.本研究によって,ランチョスベクトルの内積計算ではなく離散戸田方程式による比較的単純な四則演算でランチョスパラメータの計算を高精度に実行できるようになった.とりわけ,悪性として知られるヒルベルト行列を係数行列とする連立1次方程式についても,共役残差法(CR法)によってブレークダウンなく求解できることが示された.
さらに,multistep progressive algorithm of infinite case (iMPA)と命名した固有ベクトルの算法によって,悪条件なフランク行列の全ての固有ベクトルが計算されることを確かめた.

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2018 2017 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (3件) 図書 (1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] An application of the discrete-time Toda lattice to the progressive algorithm by Lanczos and related problems2018

    • 著者名/発表者名
      Nakamura Yoshimasa、Sekido Hiroto
    • 雑誌名

      Journal of Physics A: Mathematical and Theoretical

      巻: 51 ページ: 174001 (20pp)

    • DOI

      10.1088/1751-8121/aab7fe

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] An arbitrary band structure construction of totally nonnegative matrices with prescribed eigenvalues2017

    • 著者名/発表者名
      Akaiwa Kanae、Nakamura Yoshimasa、Iwasaki Masashi、Yoshida Akira、Kondo Koichi
    • 雑誌名

      Numerical Algorithms

      巻: 75 ページ: 1079~1101

    • DOI

      10.1007/s11075-016-0231-7

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] ランチョス・フィリップスアルゴリズムの可積分性とその直交多項式への応用2018

    • 著者名/発表者名
      澤薫、中村佳正
    • 学会等名
      第14回応用数理学会研究部会連合発表会
  • [学会発表] 応用可積分系分野の基礎方程式としての戸田格子方程式,2017

    • 著者名/発表者名
      中村佳正
    • 学会等名
      平成29年度応用数理学会年会
  • [学会発表] 固有ベクトルを求めるためのツイスト分解の計算量削減,2017

    • 著者名/発表者名
      新庄雅斗、岩崎雅史、中村佳正
    • 学会等名
      第46回数値解析シンポジウム(NAS2017)
  • [図書] 解析学百科II 可積分系の数理2018

    • 著者名/発表者名
      中村佳正、高崎金久、辻本諭、尾角正人、井ノ口順一
    • 総ページ数
      448
    • 出版者
      朝倉書店
    • ISBN
      978-4-254-11727-1
  • [備考] LAPROGNC Library

    • URL

      http://www-is.amp.i.kyoto-u.ac.jp/LAPROGNC/

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公開日: 2018-12-17  

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