研究課題/領域番号 |
15K13459
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
藤原 彰夫 大阪大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (30251359)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 凸ゲーム / 経験確率 / 意見収斂 / 情報幾何 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,一般の凸ゲームに付随したランダムネス概念を定式化することにより,確率空間をアプリオリに仮定しない経験確率の理論の構築にチャレンジすることにある.またこの定式化と並行して,各凸ゲームが定める経験確率に対する絶対連続性の概念や,経験確率空間の情報幾何構造,さらには力学的システムに対する確率的記述の可能性の研究等も行う. 本年度は,凸ゲームの典型的な例の一つである log-ロス・ゲームにおける意見収斂性(merging of opinions)について,Dawid の着想に基づき検討を行った.その結果,複数の予報士の意見収斂を特徴づけるのは,確率分布空間において,各々の予報士の(確率的)予想が定める経験確率分布をつなぐ指数型接続に関する測地線のポテンシャル関数(自由エネルギーに相当する量)であることが分かった.この量は,Vovk によって明らかにされた意見収斂性の特徴量である α-Renyi 相対エントロピーと定数倍を除いて一致するものであり,Vovk の結果に対する情報幾何学的な解釈を与えるものとなっている.さらに本結果は,ランダムネス基準が一般の f-ダイバージェンスでは必ずしも記述できないという研究代表者の先行結果とも整合する結果であり,意見収斂性の特徴量としての α-ダイバージェンスと f-ダイバージェンスの違いが常にこのように幾何学的に解釈できるか否かという興味深い問題を提起するものとなっている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
意見収斂性定理を情報幾何学の枠組みで解釈できる可能性が確認できた.
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今後の研究の推進方策 |
意見収斂性に関する同様の考察を一般の凸ゲームに拡張する.また,確率論における様々な極限定理についても凸ゲーム的視点から研究していく.
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次年度使用額が生じた理由 |
共同研究者との研究打ち合わせが当初予定していた頻度よりも少なかった.
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次年度使用額の使用計画 |
共同研究者との緊密な連絡体制を維持し,随時研究打ち合わせを行う.
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