研究課題/領域番号 |
15K13459
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
藤原 彰夫 大阪大学, 理学研究科, 教授 (30251359)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 凸性 / 単調性 / 情報幾何 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,一般の凸ゲームに付随したランダムネス概念を定式化することにより,確率空間をアプリオリに仮定しない経験確率の理論の構築にチャレンジすることにある.また,この定式化と並行して,各凸ゲームが定める経験確率に対する絶対連続性の概念や,経験確率空間の情報幾何構造,力学的システムに対する確率的記述の可能性の研究,さらにはより広い枠組,例えば量子力学を包含する体系への拡張に関する研究等も行う. 本年度は,量子力学を包含する体系への展開を見据え,昨年度の研究で扱った α-Renyi 相対エントロピーの非可換拡張について研究した.その中でも特に,近年提唱されたサンドイッチ型 α-Renyi 量子相対エントロピーは,量子仮説検定問題において本質的役割を果たすことが明らかとなり,コントラスト関数としての詳細な研究の必要性が高まっていたので,本年度はこれを中心に研究を行った.まず,従来の研究ではαを正の定数に制限していた点を拡張し,負の値も許容するように定義を修正した.そして,特に α<0 の場合のサンドイッチ型 α-Renyi 量子相対エントロピーが誘導する計量の正定値性を証明すると共に,それが完全性写像の下での単調性を有するための必要十分条件を導出した.本研究成果は,サンドイッチ型 α-Renyi 量子相対エントロピー自体の凸性および単調性を強く示唆するものであり,今後も引き続き研究を続ける予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
量子力学を包含する枠組への拡張の可能性を探る中で,サンドイッチ型 α-Renyi 量子相対エントロピーの凸性に関する重要な知見が得られた.
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今後の研究の推進方策 |
古典力学および量子力学を包含する一般的枠組への拡張を念頭に,凸ゲームに付随する(古典および量子)経験確率の構想について,より深く研究していきたい.
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次年度使用額が生じた理由 |
共同研究者との研究打ち合わせが当初予定していた頻度よりも若干少なかった.
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次年度使用額の使用計画 |
共同研究者との緊密な連絡体制を維持し,随時研究打ち合わせを行う.
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