細胞には、増殖や移動によって外部境界や他の細胞集団と接触するとき、増殖・移動が抑制されるという接触抑制機構がある。正常細胞の一部が異常細胞に変化したとき、接触抑制機構が失われた状況では異常細胞は果てしなく増殖し、初期の癌細胞になる可能性がある。本研究では,異常細胞の拡大速度に注目することから、接触抑制機構を考慮した細胞増殖モデルを導出し、モデルに現れる進行波解の速度を考察した。その結果,正常及び異常細胞の増殖率、細胞間の相互作用に鋭敏に依存して、分離進行波、交差進行波、部分交差進行波と異なるタイプの進行波解が存在し、それに応じた進行波速度が与えられることが示された。
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