本研究の目的は、宇宙望遠鏡の性能を大幅に改善する逆研磨鏡を開発することである。
その原理は、高精度の宇宙望遠鏡を製造する代わりに、望遠鏡の形状誤差を相殺するように研磨した小型鏡を追加するもので、いわばコンタクトレンズの働きをする。高精度の宇宙望遠鏡は地上望遠鏡は地上望遠鏡では代替できない観測を供するが、近年の大型化の傾向にともない、とくにコスト、開発期間、技術的リスクの増大が深刻な問題となっており、ある意味で実現性の限界状態にある。 本研究はこの限界状態に対する有効な打開策になる可能性がある。二年間の研究で設計、開発、評価を行う。用途の具体例としては、天文観測用の宇宙望遠鏡が想定されるが、合わせて、天文衛星のみならず実用衛星など広範な宇宙望遠鏡に適用できる可能性がある。 概念検討から素子の製作、および実測によるその評価を行った。評価について、より具体的には、表面の大局的形状を ZYGO 干渉計で計測、微細構造を顕微鏡型干渉計で測定し、仕様を満たすことを確認できた。
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