微細な電極構造を持つマイクロパターンガス検出器(MPGD)を用いて中性子イメージングの開発を行った。MPGDの素材として、300 μm厚のガラス基板に直径50 μm径の小さな穴が64 μm間隔で規則正しく無数に開いたガラスキャピラリープレートを用いた。中性子変換材として 10Bが蒸着されたAl窓を製作した。中性子と10Bの相互作用により発生したアルファ線または7Liは、Ne (90%) + CF4 (10%)混合ガス中を通過する際に一次電子を生成する。その飛跡をCMOSカメラで撮像することができる中性子イメージング検出器を試作し、X線および中性子源で撮像試験を行った。また、原子力研究開発機構で開発されたモンテカルロ計算コードPHITSを用いて中性子に対する細孔型MPGDの応答性を評価した。 PHITSコードを用いたシミュレーションの結果から、3 μmの厚みを持つ10BをAl窓に蒸着し入射窓を作製し、中性子イメージング検出器を試作した。中性子のイメージング試験は,京都大学加速器中性子源KUANSからの熱中性子ビームおよび京都大学原子炉実験所KURからの冷中性子ビームを用いて行った。イメージング用のサンプルを透過した中性子は10Bで捕獲され、放出されたアルファ線(7Li)を10Bが蒸着されたAl窓とCPの上面部間の有感領域(3 mm)で検出した。 有感領域に作られた一次電子は,CPの細孔内でガス分子を雪崩的に電離・励起し、その際に発生したガスシンチレーション光をミラー光学系で反射しCMOSカメラシステムで撮像することに成功した。
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