研究課題
ダークマターを高解像度と3次元検出が可能な特性を持つ原子核乾板上に微細飛跡として記録し、その方向性を含めて検出する国際プロジェクト(NEWSdm:Nuclear Emulsion for WIMPs Search)が進行中である。本研究ではそのプロジェクトの一環として、原子核乾板上の微細飛跡検出のための萌芽的技術の開発を進めた。超微粒子乳剤の写真感光材料からなる高解像度原子核乾板に1 μm以下のダークマターの反跳粒子の微細飛跡を,現像銀粒子の列としてその方向性を含めて記録する。高解像度原子核乾板はこの飛跡を記録するに充分な能力を有するが、簡便・迅速な検出器である光学顕微鏡ではこの微細飛跡を解像しえない。ここでは飛跡を作る金属銀微粒子の局在表面プラズモン共鳴現象を利用して微細な飛跡を光らせることで超解像で検鏡する手法を検討した。抑制現像法を用いて数10 nmの微細現像銀粒子を作製した。これの電子顕微鏡用検鏡試料上で、マーカーを用いて同一視野を特定して光学顕微鏡でも観察した。光学顕微鏡の透過像では見えない微小粒子も、プラズモン共鳴像では明瞭な輝点として認識された。接近した粒子はそのままでは個別に検出するのが困難であるが、偏光をかけた観察では角度により発光挙動が異なり、区別が可能であることが示された。光源側とカメラ側に偏光板を2枚直交して挿入することで輝点の認識能力はさらに向上した。このときプラズモン共鳴による輝点は緑~黄~橙色の色変化を示し、この色変化は微粒子の形状・サイズに対応していた。このようにプラズモン共鳴を用いた飛跡検出は、光学顕微鏡で解像しえない微細飛跡像の検出を可能とするのみならず、飛跡の示す偏光情報、色情報、輝度情報などは飛跡の持つ多くの情報を与える。これより、今後の放射線飛跡解析への有力な解析手段を与えることが示された。
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すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (11件) (うち査読あり 8件、 オープンアクセス 11件) 学会発表 (22件) (うち国際学会 2件、 招待講演 3件)
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