大体積の標的が要求される暗黒物質探索実験に用いる目的で,複数の結晶シンチレータをあたかも1つの系として取り扱う事が可能となる系の構築を目指して研究を行った.本研究のポイントは,高屈折率の薄膜や媒体を用いて,シンチレーション光の反射を抑制する点である. 薄膜形成では1.9~2.3の高屈折率薄膜を形成することに成功した.屈折率は原料組成と焼成温度で制御可能である.媒体を用いた方法では屈折率1.76の透明樹脂で結晶シンチレータを封じ,潮解性のあるシンチレータも長期に亘って安定して使用できることが分かった.一方で,暗黒物質探索に実用化するには幾つかの課題があることも判明し,今後の課題である.
|