研究課題/領域番号 |
15K13481
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
久世 正弘 東京工業大学, 理工学研究科, 准教授 (00225153)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 素粒子実験 / 加速器 / ヒッグス粒子 / 電子陽子衝突 / 陽子構造 |
研究実績の概要 |
計画中の新しい電子陽子衝突型加速器LHeCでの物理ポテンシャルをヒッグス粒子測定に関してシミュレーションにより研究するのが本研究の研究目的である。新たに60GeVの電子加速器を建設し、現存のLHC加速器の7TeV陽子ビームと衝突させる。今年度はヒッグスのbクォーク対への崩壊からHbb結合定数を測定する精度の研究を進めた。想定される測定器の様々な分解能に対してDelphesシミュレータを用いた測定器シミュレーションを行い、標準模型プロセスからのバックグラウンドに対して信号を最適化する事象選択方法を研究した。2週に1度のビデオ会議でリバプール大学、Wits大学の研究者と議論を進めた。大学院生を2度にわたりCERNに派遣し、現地研究者との議論を行わせた。6月に行われたLHeCワークショップでは大学院生が口頭発表を行い、10シグマ以上の統計有意度で信号を確立できることを示した。10月以降は新しいチャンネルであるヒッグスのinvisible decay(測定されない粒子への崩壊)の研究も始めた。初期の結果が卒業論文としてまとめられ、消失モードへの崩壊分岐比が12%以上である場合、統計有意度2シグマで検知できることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初のターゲットであるHbbモードについて、測定器の分解能依存性はほぼ調べられ、設計チームにフィードバックすることができた。また、新しいチャンネルであるヒッグスの消失崩壊の研究に着手することもできた。
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今後の研究の推進方策 |
Hbbモードに関しては最終的な予想測定精度を求めるためにシミュレーションの微調整を行う。消失崩壊モードに関してはさらに事象選択の最適化を目指す。2週に1度のビデオ会議を継続し、他機関の研究者との議論を深める。必要に応じCERNへ渡航し、現地の研究者と議論を行う。
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備考 |
2015年度東京工業大学物理学科学士論文 河口怜志「電子陽子コライダーLHeCにおけるヒッグス粒子消失崩壊モード測定の研究」
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