研究課題/領域番号 |
15K13482
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
宮田 等 新潟大学, 自然科学系, 教授 (80192368)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 有機半導体 / 放射線検出器 |
研究実績の概要 |
素粒子物理学実験の分野で重要な放射線検出器の1つにシリコン半導体検出器がある。しかし、この検出器は高純度無機結晶を用いていることから、高価であり大型化が難しいという欠点がある。 申請者は有機化学合成によって安価で大量に作ることができる有機半導体に着目し、これをセンサーとして用いた放射線検出器の開発を行っている。センサーの感度を向上させ、β線1個を20%以上の検出効率で検出できるようになることを目的としている。 実用化すれば、素粒子物理学実験への応用のみならず、放射線医療、原子力、太陽電池など広範囲の分野へ応用でき、十分な意義がある。 3)前年度に引き続き、更に詳しく有機半導体センサーの性質を理解し、センサーの各種パラメータの調整をするために、粒子加速器を用いたビームテストを行う予定であった。しかし、センサーの性能が向上(ベータ線検出効率5%以上)したこと、センサーのパラメータの設定によっては、性能の時間変動が大きかったり、粒子線の入射頻度依存性があることなどがわかったことから、センサーの試作から性能評価結果がわかるまでの時間がかかるビームテストよりも、ベータ線源と高エネルギー宇宙線によるテストを併用する方が能率的であると判断した。ベータ線源とADCを用いてデータを取得し、試作センサーのベータ線入射に対する出力電荷量や検出効率の入射位置依存性などを明らかにした。 4)線源テストで得られた高感度センサーの出力電荷分布のデータには、ピークが現れるようになり、これを関数フィットすることで、エネルギー分解能やS/N比などの量を初めて求めることができた。これらの解析を行うことで、有機半導体中の電荷の振る舞い(キャリア量のバイアス電圧依存性など)や有機半導体センサーの放射線検出器としての性能に影響を与えるいくつかの条件(因子)について明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究の手法を状況に合わせて、より能率的になるように一部変更したが、当初の目的をほぼ達成している。
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今後の研究の推進方策 |
実験室内で試作センサーを作り、その場で放射線源を用いて性能評価する手法は、今後も継続していく。これに加えて、センサーを大型化したり複数並べることで、高エネルギー宇宙線(ミュー粒子)でテストすることを考え、準備を開始した。
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次年度使用額が生じた理由 |
センサー製作用の物品やセンサー計測用の備品などを次年度に購入するため。
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次年度使用額の使用計画 |
センサー製作用の物品やセンサー計測用の備品などを購入する予定である。
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