研究課題/領域番号 |
15K13489
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研究機関 | 甲南大学 |
研究代表者 |
山本 常夏 甲南大学, 理工学部, 教授 (40454722)
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研究分担者 |
林田 将明 東京大学, 宇宙線研究所, 特任助教 (60705177)
齋藤 隆之 京都大学, 白眉センター, 特定助教 (60713419)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 高エネルギーガンマ線 / マイクロ波 / 強度干渉計 |
研究実績の概要 |
本研究により高エネルギーガンマ線観測所CTAの大口径望遠鏡を利用し多波長観測を行うことを検討している。CTAの大口径望遠鏡は23m口径の放物面鏡を備えており、ガンマ線が地球大気で生成する空気シャワーから発せられる紫外線を集光することにより、宇宙から飛来するガンマ線を測定する。この望遠鏡は可視光やマイクロ波の測定にも使え、大口径の望遠鏡を複数地上に配置した観測所はほかにないユニークな観測ができるはずである。1台の望遠鏡による高額観測の角度分解能は、ほかの望遠鏡と比べ特別に優れていないが、複数の望遠鏡による観測測定を行えば各段に高い性能を得ることができる可能性がある。この望遠鏡の焦点面には光電子増倍管1855本からなるカメラが搭載されているが、このカメラにCCDやマイクロ波アンテナを組み込むことにより多波長観測ができる望遠鏡にすることを検討している。 27年度はCTAのカメラ開発と並行して、そこに組み込むCCDとアンテナの検討を行った。試作したCCDとアンテナを山梨県明野町にある宇宙線観測所に持っていきテスト観測を行った。この観測所には3m口径のチェレンコフ望遠鏡があり、その焦点面にCCDとアンテナを取り付けた。望遠鏡をカニ星雲に向けてテスト観測を行った。その結果カニ星雲からの信号は検出されなかったが、バックグラウンドやノイズのデータが得られた。 28年度は、可視光やマイクロ波の強度の変動を測定することを検討した。実験室で複数の検出器でランダムに光る光源を測定し、それを望遠鏡と同じ配置で測定したと仮定したときに期待される観測結果について解析した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
CTAの望遠鏡を干渉計として使用する場合、2次の干渉すなわち強度干渉を行ったほうがいい。いくつかのテスト実験の結果、最も重要な要素は検出器の応答速度であることが分かった。そのため 高速なデータ集回路の開発の検討を始めた。
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今後の研究の推進方策 |
応答速度が速い検出器と読み出し回路の開発を行う。10psから100ps程度の変動を検出できる装置を開発する。これにより可視光やマイクロ波の干渉観測を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度にカメラに取り付ける集光装置を生産する予定でいたが、これまでのテスト結果を受けて若干の修正を加えることになった。このため設計の見直し確認作業を行うため生産を次年度に行うことにした。
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次年度使用額の使用計画 |
現在集光装置の設計と試作を行っているが、次年度の前半には生産に移行する予定である。
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