液体アルゴン検出器の課題を解決する一つのアイデアとして「液体アルゴン中の希ガスマイクロバブルによるガス増幅」の可能性の研究を実施した。方法としは、このアイデアの実現性を確認するために、簡易装置による宇宙線実験とシミュレーションを計画し、予定よりは大幅におくれたがその基礎的な開発研究をおこなった。 簡易実験装置は、冷却装置を持たず24時間程度の稼働を目標に設計と製作をおこなった。断熱箱の中で、液体窒素の容器の2重化により、液体窒素の補充と併せ24時間程度の稼働の可能性を示すことができた。また、トリガーを含め各システム部分の設計・製作・確認をおこなった。稼働時間確保とのトレードオフのためネオンガス循環との整合性を取るところまでいかず、実際の実験を実施することができなかった。しかし、マイクロバブルを含んだ状態でのアルゴンの固体化などを組み合わせた装置の可能性などが見いだされた。 シミュレーションにおいては、液体アルゴン実験グループが開発したしミューレションソフトウェアの利用を検討し、本研究の実験装置への適用を試みた。実験に即した最終的なシミュレーションの実施には至らなかったが、シミュレーションの枠組みの検討と実験装置適用の基本事項の研究を実施した。現在、主に2種類のシミュらーションソフトウェアが存在するが、増幅型液体アルゴン装置の基本的特徴を確認するために、特殊性はあるがR&D的に実績のあるソフトウェアの利用を考え、マイクロバブルの存在など既存の装置では想定されていない事項の組み込み方法の研究を実施した。
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