研究課題
全ての電波検出器には「高統計」と「多帯域性」が求められると言っても過言ではない。現在、主流のアンテナ結合検出器は、1素子で1モードしか検出できなため多素子化が必須となる。しかも、周波数帯域毎にアンテナが異なる。結果として、高統計・多帯域性の追求には複雑さと多額の経費を伴う。これに対して、本研究はコンパクトかつ安価に、それらを実現する検出器の開発を行う。超伝導転移温度(Tc)特性を利用して周波数応答を決定するため、アンテナを一切持たないシンプルな構成となる。しかも、圧倒的な数のモード数を実現する(150ギガヘルツ帯では1素子で100モード)。「周波数応答性はアンテナで定義するもの」という従来の常識を覆す斬新なアプローチと、1素子で従来の100倍もの高統計を実現するアイデアの融合により、「高感度でもコンパクトかつ安価」な検出器を開発する。作成した超伝導素子の評価実験を効率的に行うために、読み出しエレクトロニクスの機能の整備とそれを用いた測定ソフトウェアの開発を行なった。素子の周波数特性を自動で測定し、個々の素子に対してそのノイズスペクトルを測定可能となった。また、トリガー機能も新たに追加開発することにより、ミリ波だけでなく放射線に対する時間応答性も測定可能になった。トリガー機能の実装により、本研究の成果が電波計測のみならず、可視光や放射線計測という新用途の開拓を積極的に行えるようになった。
3: やや遅れている
一昨年度に、超伝導検出器を製作する装置のひとつ、マスク露光機が故障し、復旧に半年を要したため、引き続き製作条件等の整理に遅れが生じている。一方で、読み出しエレクトロニクスやデータ取得ソフトウェアの開発を前倒して行い、作成した検出器の効率的な評価実験環境を整備した。
整備した評価環境を用いて、開発素子の評価実験を行う。
理由:一昨年度に超伝導検出器の製作に用いるマスク露光機が故障し、さらに修理・復旧に半年を要した。その影響で、製作条件等の整理に遅れが生じているため。使用計画:超伝導検出器の試作と、その信号応答性を確認する評価実験を行うための治具等の製作、その他必要物品と研究成果の発表に用いる。
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IEICE TRANS. ELECTRON
巻: E100-C ページ: No.3,pp.1-7
10.1587/transele.E100.C.298
https://www-he.scphys.kyoto-u.ac.jp/research/CMB/index.html