研究課題/領域番号 |
15K13496
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
生嶋 健司 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (20334302)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | グラフェン / 量子ホール効果 / テラヘルツ |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、グラフェンにおける電流注入型のランダウ準位発光(サイクロトロン発光:波長15μm、周波数20THz程度)を検出し、ディラック・ランダウ準位における非平衡電子ダイナミクスを明らかにすることである。特に、金属コンタクトと単層グラフェン界面で形成されるポテンシャル特異点(ホットスポット)に着目し、ランダウ準位N=1→0およびN=0→-1の発光を検出する。このランダウ準位発光を検出するために、次の二つの方法を用いる。(1)同一基板上にサブミクロンスケールで隣接したグラフェン・ホール素子を作製し、一方を測定対象(発光素子)、もう一方を検出素子とする。(2)量子井戸を用いた高感度な電荷敏感型赤外フォトトランジスタ(CSIP)を利用して検出する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
H27年度は、方法(1)を実現するために、電磁場解析による金属パターンの最適化と隣接した二つのグラフェン・ホール素子の作製に取り組んだ。一部、オーミック抵抗が不完全な端子が見られるが、素子作製の目処が立ちつつある。一方、方法(2)を実行するために、まず、強磁場中におけるCSIPの振る舞いと感度を確認した。その結果、①強磁場中ではゼロ磁場における正の光応答のみならず、負の光応答が生じる、②強磁場中ではホール抵抗が大きくなるため、従来の光応答電流測定よりも光応答電圧を測定した方が検出器動作としてよい、③量子ホール効果プラトー領域では光応答は小さくなるが、遷移領域においてゼロ磁場と遜色のない感度を有する、ことが見出された。①における負の光応答は、端-バルク状態間結合が光吸収事象により変化することが原因であると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
H28年度は、隣接した二つのグラフェン・ホール素子の作製と測定を行う。また、CSIPが強磁場中で動作することが確認されたため、ウィンストンコーンを用いた小型のテラヘルツ集光系をセットアップし、グラフェンからのランダウ準位発光の検出を試みる。
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備考 |
IKUSHIMA GROUP http://web.tuat.ac.jp/~ikushima/index_j.html
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