研究課題
いくつかの種類の層状半導体物質を使って電界効果トランジスタ(FET)素子を作製し、それらの電気伝導特性を調べた。作製プロセスにおいて、ソフトマテリアルであるゲルシートの有効性を明らかにした。1. 2硫化モリブデンMoS2 は原子層までの薄い薄片が容易に得られる遷移金属ダイカルコゲナイド物質であり、従来使われているSi 材料の微細化の限界を超える可能性があることからも、近年、内外で活発に研究が進められている。本研究において、ソース・ドレイン電極として用いる金属の種類が、伝導特性に顕著な影響を及ぼすことが明らかになった。具体的には、一般的に使われているTi/Au電極の場合と比較して、Al電極を使った場合、電気伝導度が非常に大きいことが見出された。また、電気抵抗の温度依存性を室温から約13Kの範囲で調べた結果、ゲート電圧に依存する金属絶縁体転移が観測されたが、この現象についても、Ti/Au電極の場合とAl電極の場合で、顕著な違いがみられた。これらの結果は、Al電極の場合、著しくキャリア密度が増加していることを示唆しており、Al電極からMoS2への電荷移動が起きているものとして理解することができる。2.最終年度には、比較的研究例の少ない遷移金属ダイカルコゲナイド物質の例として、ZrS2 とTiTe2を化学輸送法により合成し、バックゲート型FET素子としての電気伝導特性を調べた。TiTe2の方は、純良な単結晶を育成することができなかったが、ZrS2については、純良な単結晶が得られ、n-channel のFET特性を観測した。過去に報告されているSiO2/Si基板の上に作製したZrS2 素子でみられたオンオフ比(ゲート電圧によって制御できるオン状態とオフ状態での電気抵抗の比)よりもはるかに大きなオンオフ比を観測することができ、この物質のデバイス応用における優位性を確認することができた。
すべて 2018 2017 その他
すべて 雑誌論文 (9件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 3件、 招待講演 1件) 備考 (1件)
Journal of Physics: Conference Series
巻: 969 ページ: 012105~012105
10.1088/1742-6596/969/1/012105
第13回ナノテク交流シンポジウム予稿集
巻: - ページ: 36
巻: - ページ: 49
Japanese Journal of Applied Physics
巻: 57 ページ: 015801~015801
10.7567/JJAP.57.015801
Advanced Materials Interfaces
巻: 4 ページ: 1700631~1700631
10.1002/admi.201700631
Proceedings of the Nature Research Society
巻: 1 ページ: 01008~01008
10.11605/j.pnrs.201701008
Abstracts of 28th International Conference on Low Temperature Physics
巻: - ページ: 445
巻: - ページ: 419
Abstracts of International Symposium on Nanoscale Transport and phoTonics
巻: - ページ: 199
http://www.shi.ynu.ac.jp/