近年、薄膜表面における空間対称性の破れに伴うディラックコーンと呼ばれる特殊な電子状態により出現する「量子異常ホール効果」がエネルギー損失を伴わない電力輸送を実現する可能性が報告された。EuO/SmO人工超格子多層膜において、薄磁性薄膜よりも高い温度で量子ホール効果が発現することが理論的に予言されたものの、EuOやSmOは熱力学的に不安定な物質であるために通常の結晶合成法では作製が困難であることが知られている。 そこで、本研究では、様々な成膜条件下において、Sm酸化物薄膜を成長させ、結晶構造および電子状態を詳細に評価することにより、熱力学に不安定なSmO薄膜が得られことを示した。
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