研究課題/領域番号 |
15K13502
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
中村 亮介 大阪大学, 産学連携本部, 特任講師 (70379147)
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研究分担者 |
梅村 信弘 千歳科学技術大学, 理工学部, 准教授 (40580098)
神村 共住 大阪工業大学, 工学部, 准教授 (40353338)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | レーザー分光 / 赤外吸収 / 光学活性 / タンパク質 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、タンパク質の高次構造変化を高感度・リアルタイムで検出できるシングルショット赤外吸収キラリティ分光法を開発することである。具体的に、チャープパルスアップコンバージョンによってスペクトル分解能を保持したまま中赤外光から可視光へと変換したのちに、ヘテロダイン検波を行い、汎用CCD分光システムによってスペクトル干渉を取得する。 初年度は、「チャープパルスアップコンバージョンによるヘテロダイン検波」を実施した。チャープパルスは、チタンサファイア再生増幅器内部からパルス圧縮される前の基本波パルス光(中心波長806nm、パルス幅150ピコ秒)を取り出して利用した。ターゲットとするタンパク質の振動モードは、5~10umに分布するアミドI~IIIである。したがって、アップコンバージョンに用いる和周波混合結晶として、0.45-12.1umで透明なAgGaGeS4を用いた。しかし、変換効率の波長依存性の評価を行った結果、5umより長波長の赤外光に対して、変換効率が急激に減少することが明らかになった。これはチャープパルス光の2光子吸収が原因と推測される。そこで、より紫外域でも透明なLiGaS2(0.32-11.6umで透明)を急きょ入手し、同様の評価を行った。その結果、5-10umの赤外光に対して高い変換効率を示すことが分かり、アップコンバージョンシステムに組み込んだ。なお、LiGaS2結晶は、前倒し支払請求によって購入した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画していた「チャープパルスアップコンバージョンによるヘテロダイン検波」は、使用を予定していた和周波混合結晶が目的の性能を示さない、という事態となった。しかし、その原因を調べ、さらに計算シミュレーションを行って、より適切な結晶としてLiGaS2を選択した。結晶入手のために前倒し支払請求制度を活用することで、大幅な遅れをきたすことなく、研究を進捗することができた。
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今後の研究の推進方策 |
入射光の偏光に対して平行成分、垂直成分両方の振幅・位相を一括取得するシングルショット測定への展開を行う。その際、テスト試料として、キラリティ分子として代表的なピネンを用いて、従来手法で報告されている赤外光学活性の結果と比較する。さらに、ポリペプチドに対して測定を行い、タンパク質の構造変化に対する検出限界を評価する。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額(約14万円)は物品購入を計画していたが、納期の問題で本年度購入を見送った。
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次年度使用額の使用計画 |
当初の計画通り、光学システム構成部品の購入にあてる。
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