空間反転対称性を破る結晶構造をもつ系は、ワイル半金属などさまざまな新規物性が期待される系のもととなるため重要性が増しているが、人工的に空間反転対称性の破れを導入することは不可能だと考えられている。そこで本研究では空間反転対称性を破る結晶成長を実現するため、超伝導マグネット中で動作する電気炉を作製した。TlBi(S0.5Se0.5)2というディラック半金属系に適用することでワイル半金属の実現を目指したが、これまでのところ空間反転対称性の破れにつながる新奇物性の実現には成功していない。しかし、開発したこの手法はバルク単結晶成長や薄膜試料のアニールなどに活用できると期待される。
|